2010年12月02日 公開
2023年09月15日 更新
来春の統一地方選は、4月10日(都道府県と政令指定都市の首長・議員選)と4月24日(それ以外の市区町村の首長・議員選)に行われます。
議会の議員や会派(政策についての考え方を同じくする議員が集まって作る集団)でもマニフェストを作成する機運が高まっていますが、夕張市の財政破綻以降、議会による財政チェックの機能強化が求められているにもかかわらず、そうした点に関連したマニフェストを掲げている例は、最近の選挙を見ても、それほど多くありません。
そこで、予算委員会等での審議を活発にしていくためにも、会派マニフェストに何を盛り込むことができるか、いくつかの例を紹介したいと思います。
第一に、経年比較や近隣自治体・類似団体などとの比較を行うことで、自治体の財政を分析する『財政白書』をつくることです。国立市や沼津市など、市民が『財政白書』をつくるケースが増えていますので、議員にできないわけがありません。現状把握の出発点として、これから財政改革に取り組む議員・会派にはおすすめです。
第二に、赤字となっている事業にフォーカスして財政状況を調査することが考えられます。例えば、第3セクター、公営ギャンブル、下水道などのインフラ事業の実態調査。また、図書館、文化ホール、保育園・幼稚園などハコモノの現状を分析する『施設白書』の作成が挙げられます。
最後に、以上のような白書の内容や分析結果などを、市民にわかりやすく伝えていくことです。市民との情報共有を約束すれば、議員は説明するために徹底して現状把握を進めていかなければならなくなりますし、改革を進めていくためにも、市民の理解は必要不可欠です。
以上、3点を挙げました。来春の統一地方選では、議員が財政チェックに取り組む姿勢があるのか否かを、しっかりと見極めて投票する有権者が増えることも予想されます。議員・会派マニフェストに財政チェックのための何らかの具体策が盛り込まれることを期待したいと思います。
(2010年11月29日掲載。*無断転載禁止)
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茂原 純(もはら・じゅん)
PHP総研 公共経営支援センターコンサルタント
慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。衆議院議員秘書を経て、PHP総合研究所に入社。現在、同公共経営支援センター コンサルタント。専門はローカル・マニフェスト、政策PR。PHPマニフェスト塾を企画・推進。また、首長や会派マニフェストの検証委員を務める他、マニフェストに関わる各種コンサルティングを展開している。PRSJ認定PRプランナー。
更新:12月04日 00:05