2011年07月13日 公開
2023年09月15日 更新
災害対策や孤独死等への対応という観点から、地域コミュニティとしての町内会に注目が集まっています。特に東日本大震災後は、被災地以外の地域でも、災害に備える活動に取り組む町内会が増える一方、自治体自らが加入率の向上等に乗り出す例も出てきています。身近で誰でも知っていそうな町内会ではありますが、町内会とはそもそもどのような団体なのでしょうか。
実は、町内会がはじめて全国的に整備されたのは1940年で、戦時中、内務省訓令第17号により、戦争に国民を協力させる目的で制度化されました。さらに、1943年の市制・町村制の改正で、町内会長が市長承認制になり、町内会は市町村行政の下請的機関になります。その後、占領軍によって解散させられますが(政令第15号)、自治会などに名称を変えたりして存続した組織もあり、占領が終了して政令が失効した後も、町内会の数は増え続けて現在に至っています。
そして、町内会自体のあり方を規定している法律は今現在、ありません。法的根拠のない団体ですので、加入しないからといって罰せられることもなく、脱退するのも自由です。また、どのような活動を行うのかも、それぞれの町内会次第ということになります。祭りや旅行などのイベントを主に活動している町内会もあれば、ゴミ問題や町の防犯など、地域課題の解決に力を入れる町内会もあります。回覧板を回している町内会もあれば、回していない町内会もあるのが実態です。
ただし、平成3年に地方自治法の改正で、認可地縁団体として法人格を取得することが可能になりました。これによって、いままでは個人名義でしかできなかった不動産登記等が町内会の名義でできるようになりました。法人格取得の条件として、「良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っている」など4つが掲げられており、それらに反した場合は、市町村長が認可を取り消すことができます。
したがって、認可地縁団体となった後は、地方自治法で定める規定に則ることになり、地域に貢献する活動に取り組んでいなければなりません。総務省の調べによると、平成20年4月1日時点での調査では、全国の町内会などの地縁団体の総数が294,359。そのうち、認可地縁団体の数が35,564となっています。したがって、全体の12%が法人格を取得していることになります。
もちろん法人格を取得すればすべてがうまくいくわけではなく、担い手確保を含めた運営の問題や、地域住民の無関心、地域課題を解決する能力の向上など、克服すべき様々な課題を抱えているのが現状です。震災対策や孤独死といった課題等の解決に貢献できる町内会に脱皮できるのか。これからの町内会の活動に注目していきたいと思います。
(2011年7月11日掲載。*無断転載禁止)
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更新:11月24日 00:05