2011年05月11日 公開
2023年09月15日 更新
4月の統一地方選挙が終わりました。大阪維新の会や減税日本などが存在感を示し、議員の定数削減や給与カットといった問題が提起される中で、地方議会・議員はどう変わっていけばよいのか――今回の統一地方選の焦点の1つは、この点にあったといえます。
では、その答えを地方議会の会派や政党支部はどこに見出したのでしょうか。道府県議選・政令市議選のマニフェストの中から3つの事例を取り上げ、見ていきたいと思います。
1.条例制定で議会が行政を主導する
議会マニフェストにおいて、前回の統一地方選と比べ確実に変化した点は、多くの会派や政党支部が条例案を盛り込むようになったことです。議会には行政執行権はないものの、条例制定権があります。この点を活かして、理念条例として自治体運営のルールをつくれば、行政を方向付けていくことも可能になります。一歩進んで、よこはま自民党が提示したように、行政の縦割りの弊害を、条例で各担当部局等の役割を規定することで克服しようとする戦略的な考え方も出てきています。
2.議会の財政チェック機能を強化する
次に、夕張市の財政破綻以降、議会の財政チェック機能の強化が求められていますが、今回の統一地方選のマニフェストでも、この点を掲げるものが多く見られました。その中でも、民主党・無所属の会さいたま市議団の「事業仕分けの手法を活用した常設の(仮称)決算行政監視委員会を設置し、常時ムダをチェック」するとしたものや、京都党の「支出だけでなく収入の見直し」策も掲げたものなどは、具体的であり、注目に値します。
3.政党の縦の連携を活かして二重行政の解消を促進する
最後に、大阪維新の会など、首長主導で二重行政の解消を唱える例が出てきていますが、議会側からも、この課題に取り組む動きが見られます。民主党の京都府連と京都市の会派は、「二重行政のあり方検討委員会」を設置し、効率的な自治のあり方を提言することをマニフェストに盛り込んでいます。そもそも、政党支部には、都道府県、市町村の各レベルで現場をよく知っている議員がいるわけですから、その縦のネットワークを活用して検討することは、自然な流れといえます。
以上、今回の統一地方選での議会マニフェストを例に、今後、地方議会・議員が取り組むべき課題に触れてきました。地方議会が本来的と同時に新たな時代にマッチした機能を果たしていく上でも、これらの例や課題が着実に実行に移されていくことを期待したいと思います。
(2011年5月9日掲載。*無断転載禁止)
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更新:11月23日 00:05