2011年03月09日 公開
2023年09月15日 更新
統一地方選の前半戦(4月10日投開票)では、都道府県議選が東京、茨城、沖縄を除いた44道府県で行われます。議会の存在意義や政策立案力が問われる中、各地の政党支部や会派が議員の立場でマニフェストを作成する例が増えています。その実績を、与野党第一党の民主党と自民党に焦点を当てて見ていきたいと思います。
まず、民主党は、先の統一地方選(2007年)において、24道府県支部でローカルマニフェストを作成しています。
http://www.dpj.or.jp/news/?num=9474
したがって、その実績と検証を踏まえた新たな政策が、今回の選挙で問われることになります。
一方、自民党は昨年7月の参院選の際、全都道府県支部において、新たにローカルマニフェストを作成しました。
http://www.jimin.jp/jimin/info/local/index.html
ただし、これで次の統一地方選を戦うにしても、前回の統一地方選で掲げた公約の実績について、説明責任を果たすべきでしょう。
では、今回の統一地方選を前にしたマニフェストの作成状況はどうでしょうか。3月4日現在、民主、自民の道府県支部や会派のウェブサイトを確認したところ、マニフェストを既に公表しているのは、43道府県中、民主は12支部(中間案も含む)・3会派、自民は26支部・ 1会派でした。ただし自民党については、そのうち18支部が、参院選でのローカルマニフェストをそのまま提示しています。
その中で、前回の統一地方選で掲げた公約への取組を検証して実績を公表しているのは、民主・自民合わせて、民主党の京都と宮城の2支部だけでした。このうち、宮城の検証は基準が明確でなく、点数がつけられているのみで説明が不十分なため、きちんと検証を行っているのは京都だけです。
http://www.dpj-kyotostyle.net/main.html
民主党京都支部は、京都府のみならず、民主党議員がいる市町でも公約が実現しているかを5段階で評価。また、 2009年に中間検証を行うなど、マニフェストを機軸としたPDCAサイクルをしっかりと形成しています。今回のマニフェストについては、前回の公約で実行主体(府がやるのか、市がやるのか等)の仕分けが曖昧だった反省を踏まえ、京都府が取り組み、かつ各市町村でも取り組める最大公約数的な公約をコンパクトにまとめました。それをもとに、各自治体の民主党系の会派が個別のマニフェストを作成して発表するとのことで、政党支部と地域内の各議会会派のマニフェストを連動させた試みとしては日本初といえるのではないでしょうか。
こうした事例がある一方で、ほとんどの政党支部や会派が、公約の検証や実績の公表をしていないのは残念です。前回の公約の実績を説明せずに、新たな公約を掲げても、有権者は信用できないからです。極端にいえば、公約を軽く捉えていると判断されても仕方がありません。また、民主党京都支部の例で見たように、きちんと検証を行うことで、次に取り組むべき課題が見えてくることもあるはずです。
地方選挙では首長選が注目されがちですが、二元代表制の一翼を担う議会の存在意義が問われている中で、有権者・市民もしっかりと議会議員選に注目していくべきです。選挙前に各地で行われる公開討論会についても、知事選だけでなく道府県議選も扱い、前回選挙で掲げた公約に関する取り組みや実績、課題などについて、各政党から説明を受ける機会を設ければ、議会活性化にも資すると思われます。
(2011年3月7日掲載。*無断転載禁止)
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更新:11月23日 00:05