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B.LEAGUE若手選手 ・内尾聡理、鍵冨太雅がプロになって実感した「社会的責任」

2024年08月06日 公開
2024年12月16日 更新

田口佳歩(Voice編集部)

B.LEAGUEのSR

2024年7月、公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(以下「B.LEAGUE」)は、リーグ所属の新人および2、3年目の選手対象に研修を実施。2016年より毎年、プロとしての自覚の醸成や選手を取り巻く環境への理解を育てることを目的に行なわれている。

今回、4日目の講義「B.LEAGUAEのSR(社会的責任)」を取材。研修後、内尾聡理選手(ファイティングイーグルス名古屋)、鍵冨太雅選手(青森ワッツ)にも話を聞いた。

 

B.LEAGUEの先輩・寺嶋良選手が若手を刺激

B.LEAGUE
(C) B.LEAGUE

まず、B.LEAGUEの佐野正昭専務理事が講師として登壇。オフザコートでも選手の立ち居振る舞いや活躍が期待されること、社会貢献活動を通した社会との接点が「人間力」を育てることが話された。B.LEAGUEがSDGsの実現に向けて推進する「B.LEAGUE Hope」の活動についても紹介。新人・若手選手の理解を促した。

続く寺嶋良選手(広島ドラゴンフライズ)と一般社団法人フィールド・フローの拓殖陽一郎氏代表とのセッションでは、寺嶋選手がルーキー時代から進めてきた社会貢献活動について紹介。

寺嶋選手の活動の幅は、B.LEAGUEでも唯一無二といってよい。ホームゲームで得たHERO賞の賞金とチャリティーイベントによる寄付金により、カンボジアの貧困世帯へ浄水器を提供したほか、チームが本拠地とする広島の幼稚園への絵本の寄贈、さらに認定NPO法人と協力して、コーヒー豆の購入を通して原産地ラオスの人びとの雇用環境の改善を助ける活動も行なってきた。

最後に選手たち自身が、講義の内容をふまえて少人数グループで意見交換。これから何ができるか少しずつ考えたいという意見が出る一方、「自分が貧困家庭で育ったこともあり、同じような問題を抱える人を助けたい」(八村阿蓮選手・群馬クレインサンダーズ)という声も挙がった。

 

内尾選手「施設訪問は、選手である自分自身が元気に」

鍵冨太雅
(C) B.LEAGUE

研修後、ルーキーの内尾聡理選手と3シーズン目を迎える鍵冨太雅選手への取材を行なった。

――まずは研修を終えての感想を教えてください。

【内尾】今回のオフシーズンに、児童養護施設を訪問する機会がありました。プロ選手として子供たちに接するだけでもすごく喜んでくれたので、嬉しかったですね。まだまだ規模は小さく、活動の幅を少しずつ広げていけたらいいなと思います。現役選手だからこそ発揮できる価値として、もしかしたら将来ファンになってくれるかもしれないですし、新しい価値を生んでいけたら、と思います。

講師としてお話を伺った寺嶋選手のように、日本や世界の各方面へアンテナを張って行動していきたい。プレーももちろん、それ以外の面でも応援される選手になりたいですね。

【鍵冨】寺嶋選手の発言のなかに「人に対してしたことは、間接的に自分にも返ってくる」という言葉がありました。すごく納得したし、グループセッションでも多くの選手が共感していました。自分がチームに貢献すれば、チームやB.LEAGUEへの応援にもつながるかもしれない。何が最も喜ばれるかはまだわからないですが、そうした気持ちを大事にしながら、地道に社会活動に取り組んでいきたいです。

じつは寺嶋選手の活動は個人的に以前から注目していて、ご自身の趣味が読書だからこそ絵本の寄贈という活動につなげているんですよね。自分の好きなものから新たな価値につなげていくというのは、継続するモチベーションにもなると思うので、自分も身近なところから活動を考えたいですね。

――鍵冨選手は、高校卒業後にスラムダンク奨学金で渡米。内尾選手は、高校時代に河村勇輝選手らと活躍し、中央大へ進学。お二人とも学生時代から注目されてきたなかで、プロになって以降の意識の変化はありますか。

【鍵冨】学生のころはあくまで親や先生に責任をとってもらう立場で、自分で責任をとることはありませんでした。いまは文字通り「プロ」としてみられているので、注目や尊敬に応えないといけない、と実感します。B.LEAGUEの研修を通して社会貢献活動やコンプライアンス、お金の使い方などを学ぶことができて、とてもありがたいです。

【内尾】大学時代にも子ども向けのバスケットボールクリニックはやっていましたが、プロになってから、言葉への責任が重くなりました。子どもたちとの交流でも「プロ選手が教えてくれる」「プロ選手はこう言っていた」という見られ方になって、大学時代と比べると大きな違いを感じます。

同時に、行動の幅が広がっていることも実感します。やはり所属チームのおかげで、たとえばチームとつながりのあるSDGs関連の企業の皆さんと手を組むことができ、活動の種類も豊富で資金面でもより多くの人やものを巻き込める。大学での活動はどうしても規模が限られていましたが、プロになった分できることが増え、責任も大きくなっているのだと思います。

内尾聡理
(C) B.LEAGUE

【内尾】意外に思ったのは、子どもと接すると選手である自分自身のほうが元気やモチベーションをもらえること。それは実際に外へ出て地域と交流しないと感じられないことだと思うので、参加できて良かったですね。

子どもたちの笑顔に触れることで、またこうした場所を訪問するためにもバスケットボールを頑張りたいと思いましたし、いつか試合を観に来てもらった際には活躍する姿をしっかりと見せたいな、と気持ちを新たにしました。

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2023年のFIBAワールドカップや今夏のパリオリンピックで男子日本代表が奮闘し、さらに注目度が高まるB.LEAGUE。リーグの今後を支える新人、若手選手らの積極的な活動が、スポーツ界ひいては日本社会の未来をひらくに違いない。

 

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